譫語

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新しき美をわれは求める。墓の上《うへ》に遠慮無く舞踏するわれらだ。爾等《なんぢら》はモツァルト、ラファエルを守れ、ベエトホ※[#濁点付き片仮名ヱ、1-7-84]ン、シェイクスピア、マルク・オオレルを守れ、われらは敢て異端の道を擇ぶ。爾等《なんぢら》の旌《はた》に敬禮しようや。もし古《いにしへ》の俊傑が復活するとならば、このわが身中《みうち》に、このわが血液に甦《よみがへ》るべし。爾等《なんぢら》の見窄《みすぼ》らしい繪馬《ゑま》の前に、なんでこの身が、額《ぬか》づき祈らう。むしろ、われは大風《たいふう》の中を濶歩して、轟き騷ぐ胸を勵まし、鶫《つぐみ》鳴く葡萄園に導きたい。沖の汐風に胸ひらくとも、葡萄の酒に醉《ゑ》はうとも、何《なん》のその。古書《こしよ》に傍註《ばうちゆう》して之を汚す者よ、額《ぬか》づき拜《はい》せ、われは神だ。われ敢て墓の上に舞踏して憚らぬ所以のものは、全世界の美、われにとりては、朝毎、朝毎に、新しいからだ。

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