シモオヌよ、そなたの髮の毛の森にはよほどの不思議が籠つてゐる。

[#2字下げ]雪[#「雪」は中見出し]

シモオヌよ、雪はそなたの頸《えり》のやうに白い、シモオヌよ、雪はそなたの膝のやうに白い。

シモオヌよ、そなたの手は雪のやうに冷たい、シモオヌよ、そなたの心は雪のやうに冷たい。

雪は火のくちづけにふれて溶《と》ける、そなたの心はわかれのくちづけに溶《と》ける。

雪は松が枝《え》の上《うへ》につもつて悲しい、そなたの額《ひたひ》は栗色《くりいろ》の髮《かみ》の下《した》に悲しい。

シモオヌよ、雪はそなたの妹《いもうと》、中庭《なかには》に眠《ね》てゐる。シモオヌよ、われはそなたを雪よ、戀よと思つてゐる。

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