柊冬青

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シモオヌよ、柊冬青《ひひらぎそよご》に日が照つて、四月は遊にやつて來た。

肩の籠《かご》からあふれる花を、茨《いばら》に柳に橡《とち》の樹《き》に、

小川《をがは》や溝や淺沼の汀《みぎは》の草にもわけてやる。

水の上には黄水仙《きずゐせん》、森のはづれへ日々花《にちにちくわ》、

素足《すあし》もかまはず踏み込んで、棘《いばら》のひかげへすみれぐさ、

原《はら》一面《いちめん》に雛菊《ひなぎく》や鈴を頸環《くびわ》の櫻草《さくらさう》、

森の木《こ》の間《ま》にきみかげ草《ぐさ》、その細路《ほそみち》へおきなぐさ、

人家《じんか》の軒へあやめぐさ、さてシモオヌよ、わが庭の

春の花には苧環《をだまき》、遊蝶花《いうてふくわ》、唐水仙《たうすゐせん》、匂の高い阿羅世伊止宇《あらせいとう》。

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